リーダー


俺は嵐のリーダーをやっている。
でも、今までそういう役割はほとんどしたことがない。
だって性格上まとめ役ってわけでもないし、人の上に立つっていうのが
そんなに好きではない。

そんな俺がなんでリーダー?
そう、じゃんけん。
全てはそのじゃんけんによって運命が作られたのだ。
「少年隊のリーダーは僕ってことになってるんですけど、嵐のリーダーは誰なの?」
番組中、少年隊の東山さんが聞いてきた。
「いません」
「いないっす」
お互いメンバーの顔を見合わせて口々に言う。
「じゃあ、この中で一番年上は?」
「はい」
俺は手を上げた。でも年上イコールリーダーってのは違うと思うし…
「でも、やっぱ僕じゃムリかなって…」
素直な発言をしたつもりだが、笑いが起きた。
「誰がこの中で一番しっかりしてる?」
東山さんがさらに質問してくる。これにはメンバー一致で、
「翔君」
と答えた。
「じゃあ、とりあえずリーダー決める?」
「一人ずつ聞いてみよう」
と言われ、一人ずつ意見を言うことになった。
「僕はやっぱ年上の大野君にやってもらいたいですね」
松潤が俺の名前を出した。
「ちょっと…なんで僕?」
俺は推薦されたことに動揺して口を挟んでしまった。
「いや、だって大きく構えて、皆を見る…みたいな?」
「だよねー、どっしりと見守る、みたいな?」
ニノが賛同する。
「いや、でも…僕そんな器じゃないし…向いてないと思うんですけど」
「じゃ他のメンバーは?」
東山さんが相葉に話を振った。
「僕も大野君がいいっすかね…」
「僕も、大野君が…」
何と翔君も賛同して俺以外全員一致になってしまった。
「じゃあもう必然的に大野だよね」
いやいやいや…!
「いや、やばいっすって…」
本当にやばいよ。皆本当にそれでいいの?
「大野は誰が良いと思ってんの?」
誰が良いって、聞かれるまでもない。まとめ役っていつもこの人がやってるんだ。
「僕は翔君…」
「じゃ、その二人でじゃんけんしよっか」
また先輩はめちゃくちゃなこと言う…じゃんけんなんかでこの先の運命決められてたまるか。
「え、今ここで決めるんですか?」
さすがに翔君も戸惑ってる。
「じゃんけんしなよ」
「二人でじゃんけんね」
「早く早く!」
他のメンバーは勝手なこと言って煽ってる。
…仕方ない。
「じゃあ、じゃんけんしますか」
翔君が一歩前に出た。
「しますか」
俺もしぶしぶ前に出る。
「最初はグー、じゃんけんぽいっ」
…勝った!!
と、同時に右手を翔君に捕まれて高々と上げられ、
「勝ったからリーダーね!」
え…!?
「勝ったアナタがリーダーよ」
東山さんまで!
「ちょっと、おかしいですよ。どう考えても…」
「負けてリーダーなんて縁起悪いでしょ。勝った方でいーの!」
ニノがもっともらしいことを言ってくる。 「リーダー!リーダー!」
メンバーが笑いながら呼ぶ。
「ちょ…僕…まとめるとか出来ないですけど…」
「大野君は今まで通りでいいんだよ」
松潤が笑顔を見せ、他のメンバーも笑顔で頷いている。
かくして、わけがわからないまま、リーダーに就任することになった。

あれから10年。交代制にしようとか、変わってとか言ったりもしたけど
俺は今でも嵐のリーダーを務めている。
この俺がリーダーなんて役、よく10年もやってきたよなぁ。 って言ってもメンバーが無茶しないのであんまりすることもないけど。

…待てよ。
そうか、俺も迷惑かけまいとして皆ちゃんとしてくれてるのか。
「引っ張るリーダーではなく、支えられるリーダー」
どっかの雑誌か何かのインタビューでこう答えたことがある。
単に引っ張る気がなくて言ったわけではなくて、俺のような性格の人が
リーダーを出来るってことは、メンバーに恵まれてる証拠だ。
だから支えられるリーダーって表現をした。
5人で嵐。常々言っているが、本当にそうだと実感する。

「リーダー!何やってんのー?」
メンバーの呼ぶ声で我に返る。
これからも5人で嵐。このメンバーの笑顔とともにやっていきたい。


☆☆☆
えー、大野君リーダー就任式(?)のエピソードです。
ストーリーの関係上、ちょっといじってますが。
でもこの時って本当に大野君、リーダーが嫌だったんですねぇ(笑)
プレッシャーって言ってましたし。
今ではすっかり板について、付いて行きたいって思わせちゃいますもんね。
その成長がすごいです。
これからも頑張ってください☆

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