俺の居場所


―――!?
危ない―…と思ったときにはもう遅かった。
俺はステージから、床に叩きつけられるように落下してしまった。

「――つぅ…」
落ちた衝撃から感覚が戻るにつれてズキズキと体中が痛み出す。
俺はしばらく起き上がることもできないまま、床に倒れこんでいた。

「翔くん!?」
「翔ちゃん!!」
メンバーが次々と駆け寄ってくる。
そう…今はコンサートのリハ中。あと数時間で開演なのだ。
「大丈夫!?」
皆に心配掛けさせないようにしたかったが、俺は倒れたまま頷くのが精一杯だった。
「櫻井さん?わかりますか?」
スタッフさんが俺のすぐ横に来た。
俺の意識を確認しているらしい。何とか返事をしようとしたが、体が動かない。
「は……い…大丈夫……です…」
声を振り絞ってやっとのことで返事をした。
しかし、この時痛みは最高潮で、落ちたときについた手の感覚はないし、
足も、とても立てそうな感じではなかった。
―――俺、いったいどうなるんだろ…
そんなことをぼんやり考えながら、俺は担架に乗せられて病院に搬送されたのだった。
ホールを出る間際、ちらっと目を開けて見ると、
取り残されたメンバーが心配そうにこちらを見ながら佇んでいた。
―――…みんな


「大丈夫じゃ、ないよね…どう考えても…」
相葉は半泣き状態だった。
「結構高さ、あったからね…しかもモロ体打ったように見えた…」
二宮の顔も青ざめている。
「開始までもう時間ねーのに…」
松本は腕時計と櫻井が運ばれていったドアの方向を代わる代わる見ていた。
「翔くん…」
大野も目の前で起こった出来事にショックで立ち尽くしていた。


「ここ、曲げたらどうですか?」
「あ…ちょっ…!痛いです…」
ここは整形外科の診察室。俺は病院に着き、診断を受けていた。
段々と感覚は戻ってきているものの、痛いことには変わりはない。
そして、さっきから右手がおかしい…イヤな予感がする。
「レントゲン撮りますね」
しばしベッドに横になったまま、待つこととなった。
―――リハ、途中だったのにな…
皆心配してるだろーな…俺のせいでみんなが動揺してリハが予定通り出来なくなるのは絶対イヤだ。
今日もこの名古屋には俺たち嵐のコンサートを楽しみに来てくれるファンがたくさんいるのだ。

相葉くん…あいつ、昨日立ち位置間違えてたとこあったんだよな…まだ確認してなかったのに…
ニノ…曲紹介のトークの打ち合わせしたかったんだけどな…
松潤…もう少し前に行っていいって言いたかったな…
智くん…ごめん…
俺は自分自身の不注意さに情けなくなった。
明らかに防ぎようのない不可抗力事故なのだが、こんな大事なときに怪我でリハ抜けするなんて…
と自分を責めるしかなかった。


カチャ…
病室のドアが開き、先生が入ってくる。手には先程撮ったレントゲン写真を持っていた。
「先生…どうなんですか?」
俺は気持ちが焦るあまり、思わず少し体を起こしてしまった。
「たたっ…」
ついた右手が鋭い痛みを発して俺はまたベッドに倒れた。
―――なんか、これヤバいんじゃ…
俺の中ににどっと不安が押し寄せる。心のどこかで大丈夫だろうと安心させようとするのだが、
それに反して心臓の鼓動は大きくなっていく。
「…折れてますね…」
不安が現実のものとなり、俺の頭は真っ白になった。


後編へ続く。→


☆☆☆
HAPPY BIRTHDAY翔くんvの小説です。
の割りに、こんなエピソードですが…;
ちょっとシリアスちっくに書いてみました。
後編に続きます。
翔くん、お誕生日おめでとう!28歳もキラキラ輝く翔くんでいてください。
応援してます!

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